Special Vol.2 Interview
『ななちゃんのてあらい』著者・つがねちかこさんにインタビュー
ななちゃんシリーズ第4弾となる『ななちゃんのてあらい』は、バイキンをきれいに洗い流す手の洗い方を紹介しています。今回はハンドソープのふわふわふちゃんが新登場! ななちゃんは、石けんをつけた洗い残しのない手洗いにチャレンジします。シリーズでおなじみの仲間たちも、ななちゃんといっしょにピカピカの手を目指します☆ さまざまな表情のななちゃんを届けてくれる著者のつがねちかこさんに、本作の制作についてお話を伺いました。
――本書のストーリーは、どのようにして思いつきましたか? また、制作するなかで大切にしていたことはありますか?
つがねさん:見えないバイキンを視覚化して、絵本を読んだ子どもたちがバイキンを洗い流したくなるようにしたいなと思い、ストーリーを考えていきました。
「ななちゃんシリーズ」で、いつも気をつけていることは、テーマありきの絵本になっていないか、絵本としてちゃんと「お話」になっているかを大切に制作しています。
――描いていて楽しかったシーンや逆に難しかったシーン、お気に入りのシーンはありますか?
つがねさん:描いていて楽しかったシーンは、なつかしのおもちゃたちが登場するシーンです。とくに思い入れがあるのは、ガラガラじい。彼は、ななちゃんが赤ちゃんの時からずっとそばにいて見守ってきたのですが、なかなか活躍する機会がなく、やっと4冊目にしてセリフをもらえました(笑)。むずかしかったのは、子どものぷっくりした手をかわいく描けるかでした。表紙の絵は、お気に入りです。
――ななちゃんのモデルでもあるお子さんはもう小学生ですね。今回も、いっしょに手を洗ったりしたのでしょうか?
つがねさん:もう小学生なので手洗いは本人に任せていましたが、あまりにチャチャッと終わらせていたので、「ななちゃんは手くびもちゃんと洗ってるけど、洗った?」と聞いたら、「え〜手くびも洗うの!?」とびっくりしていました。それで、ななちゃんの手洗いの順番を教えて、一緒に洗いました。
――ななちゃんシリーズでは、『ななちゃんのおかたづけ』から登場するおなじみのおもちゃたちも楽しませてくれます。おもちゃたちは、ななちゃんにとってどんな存在なのでしょうか?
つがねさん:ななちゃんにとって、おもちゃたちはきょうだいみたいな存在だと思います。うちの娘は一人っ子なのですが、側から見ていると本当に、ななちゃんのように、おもちゃやぬいぐるみと会話しているように見えました。私が言っても聞かないことでも、ぬいぐるみを通して話すとニコニコ聞いてくれたり。
私自身が、子育てでおもちゃたちに助けられたので、愛着を持って描けているのかな、と思います。
――つがねさんにとって、ななちゃんはどんな女の子ですか? また、今後ななちゃんで描いてみたいストーリーがありましたらお聞かせください。
つがねさん:ななちゃんは 納得してから行動する、なかなかしっかりした女の子だと思います。きっと、「〜しなさい」「〜はだめよ」と言っても、「どうして?」って、理由を知りたがるだろうなあと思います。
モデルにした娘はどんどん大きくなっていきますが、ななちゃんはずっとちいさいままなので、ちいさい頃の娘に会えるようで描いていて楽しいです。
ずっとおうちの中のお話なので、今後は外へ飛び出していくななちゃんのお話も作ってみたいですね。
――読者のみなさまに、メッセージをお願い致します。
つがねさん:「ななちゃんのてあらい」を読んでくださってありがとうございます。コロナ禍での子育て、きっと心配ごとや大変なことがたくさんあったかと思います。そんな日々の中で、親子でほっとできるひとときに、絵本「ななちゃんのてあらい」がお役に立てたら、これ以上嬉しいことはありません。
監修をしてくださった小児科医の坂本昌彦先生から、保護者の方へ向けての解説ページがあります。その中で、「子どもができる範囲でいいですよ」というお言葉とともに、「子どもの衛生習慣を育てていきましょう」と提案されています。
絵本を読んでくれたみんなが、ななちゃんと一緒に、楽しんで手洗いの習慣を身につけてくれると嬉しいなと思っています。
体温や質感が伝わりそうなほどリアリティがあるななちゃんと、個性豊かなおもちゃたちの「ななちゃん大好き!」の気持ちが伝わる「ななちゃんシリーズ」。こんな仲間たちがいっしょにいてくれたら、いつも安心できそうですね☆ そして、高い考察と構成力でエビデンスをストーリーに盛り込みながら、こんなにもユーモアと夢のある世界を創り出してしまうつがねさんのイマジネーション! 今後もななちゃんの日常から、目が離せませんね。
つがねさん、ありがとうございました!
ご紹介した本はこちら
ななちゃんのてあらい
PROFILE
作・絵 つがねちかこ
兵庫県神戸市出身。著作絵本では、『ななちゃんのおかたづけ』『ななちゃんのおきがえ』『ななちゃんのはみがき』(赤ちゃんとママ社)『バレエはじめるの』『おおきくなったの』(ともに、ほるぷ出版)『きょうはおうちでいちごがり』(岩崎書店)『まなちゃんのあかいながぐつ』(サニーサイドブックス)では絵を担当するなど、多数の作品を手がける。一児の母。
監修 坂本昌彦
小児科専門医・指導医。佐久総合病院佐久医療センター小児科医長、「教えて! ドクター」プロジェクトチームの責任者を務める。保護者に向けた子どもの病気やホームケアに関する医療情報の提供をSNSやアプリ、出前講座などを通じて積極的に行っている。著書として、教えて!ドクタープロジェクトチーム著『マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』(KADOKAWA)がある。